2015年6月17日水曜日

牧島進一です

皆さん今日は、牧島進一です。
今回のアドルフに告ぐ。
僕は日本編で登場する憲兵隊の本多大佐を演じます。

本多は、大阪憲兵隊司令部付大佐であり、
その所属は大日本帝国陸軍です。
この部分だけを抜き取ると、
生粋の軍人という印象を受けますが、
その生まれ育ちは軍人ではなく、
若い時分には貧乏書生としてある政治家の元で働いていました。
そこで軍人としての教育を為され、
その後の人生を軍人として生きることになっていきます。

その点ではナチスと少し似ているな、
とも思いました。

例えば、当時の大日本帝国の正義においては、
満州人は日本国民より下等な存在として扱われていきます。
ナチスがユダヤ人を憎むのも、
そういった教育が幼少期から為されていたからです。

だからこそ、日本も、ナチスも、「正しいこと」として、
現代社会の観点では非人道的という言葉ですら
生温いような様々なことをしてきたのかも知れません。

国家の為なら死ぬことさえ求められたような時代。
そんな、時代によって作り上げられた「正義」というモノに縛られ、
迷うことすら許されない環境の元で生きること。
戦争を知らない僕らには、想像さえも難しいことです。
そして、本多も軍人である以前に一人の男です。
そして、芳男という息子を持つ父親でもあります。

そんな本多の生き様を、丁寧に慎重に、その想いに近付いていけるよう、
稽古を重ねていきたいと思っています。


そして、戦後70年という節目に上演されるこの作品に、
舞台上でその時代を生きる、ということによって、
少しでも貢献できればと願っています。